『人間中心デザイン入門(10月7日)』 人間中心デザインプログラム/産業技術大学院大学/2017年

2017年の産業技術大学院大学、人間中心デザインを受講しています。

主に自分の復習のために、ここに記録していきます。

 ※自分にとって重要そうだったところを、自分の視点でまとめていきますので、必ずしも先生の話に忠実でなく、また網羅性もないことにご注意ください。

 

「人間中心デザイン入門」安藤昌也 先生 1回目 10月7日(土)10時40分~18時00分

 

0.私たちHCD/UXD専門家は何を考えるべきか

 

UXの本質=「利用状況」Context of Use

「利用状況」の概念を理解することと、「利用状況」へのアプローチの仕方が重要

 

■機能をつくる⇔体験をつくる

達成したいこと→体験(利用状況)→機能

 

★利用状況って、WEBサイトの場合はどうなんだろうか。どんな状況にあるのか/受動?能動?

 

●定義

ISO9241-210/JIS Z 8530 「人間中心設計」

ISO9241-11/JIS Z 8521 「ユーザビリティ

 

1999年 ISO13407

2010年 ISO9241-210

 

ISO9241-210のプロセス

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ポイント→順序がある。どこから始めてもいいわけではなくて、前のプロセスを踏まえる必要がある。そういう意味では、利用状況が最も大切。

 

★プロモーションの場合はどう考えるのか。「要求を受けて解決する」のではなく、コミュニケーション(主に発信)して「相手の考えや行動を変える」ことが目的の場合。

 

※実際に企業から安藤先生に依頼がある業務の内容の変化

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 ●「人間中心」の哲学

「技術中心」のアンチテーゼとしての「人間中心」

「技術中心」に触れすぎた時代(1960年代)にあえて「人間中心」を唱える必要があった。

 

●クリッペンドルフの人間中心デザイン

 

デザイナーの理解「2次的理解に基づくデザイン」

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・Designing for Users

・Designing with Users →デザイン思考/デンマークIDEO/ワークショップ

自分たちが自分たちで考える。だからイノベーティブになる。

・Designing themselves

 

※参考資料 IDEO「HCD tool kit」日本語訳あり

 

 

アクセシビリティはユーザービリティを包含する概念である。

 

●UXの定義 ISO9421-210

「製品、システム、サービス使用/又は使用を想定したことにより生じつ個人の知覚と反応」

※「注」に書いてある事項も大切

  • 使用前/使用中/使用後に生じるユーザーのすべての反応 →時間軸をデザインする
  • その人の背景や状況によっても結果が変わる

●人間中心設計の原則

  1. ユーザー、タスクおよび環境の明確な理解に基づいた設計 →現場見ようぜ、話聞こうぜ
  2. 設計および開発の最初から終わりまでユーザー関与
  3. ユーザー中心の評価に基づいて設計を方向づけ、改良する →テストしようぜ
  4. プロセスを繰り返す
  5. ユーザーとエクスペリエンス全体を考慮して設計する
  6. 多くの専門分野に渡る技能と視点を持つ人で設計チームを構成する →色んな人集めようぜ

「インタラクションの設計に影響を与えるユーザーや利害関係者の多くのニーズは、設計および開発のプロセスでのみ、明らかになる」

→後戻りが考慮されていないウォーターフォールは、仕組みからして既に破綻している。(特にインタラクション要素の強い/サービス系のアプリやサイトは)

 

5.人間中心設計の計画

計画の対象が、システム開発プロセスだけでなく、製品ライフスタイル全体に変化した。

HCDは、製品ライフサイクルプロセスの各段階に組み込まれていく必要がある。

 

※安藤先生いわく、人間中心設計のプロセスは、必ず前の段階を経なければいけない。そういう意味ではウォーターフォール型で進める必要があるとも言える。

 

「HCDはよりよいUXを達成することを目的としている」

→UXとHCDの関係性を明らかにしている。

 

※ISO9241-210は非常に良いテキストになっているから、ぜひ読んでみよう!

↓安藤先生の説明資料。参考までに。

www.slideshare.net

 

 

3.ユーザーエクスペリエンス(UX)の基礎

 

●「UX」「UXD(UXデザイン)」という言葉を気をつけて使おう

UX:製品やサービスを使用する時に、ユーザー側に発生する体験

UXデザイン:上記の体験をデザイン、設計すること

 

●体験を売ろう!

 

例①バルミューダのWEBサイト。

www.balmuda.com

日本の炊飯器メーカのサイトには「ご飯」が出てこない

 

例②全国タクシーアプリのWEBサイト

japantaxi.jp

サイトの画像が砂浜ばかり。ユーザーがこのアプリを使いたくなるような利用文脈を見出して、訴求している。

 

  ●体験価値と提供価値

 体験価値はユーザー側の視点、提供価値はビジネス側の視点

 

タートルタクシーの事例

・タクシー運転手の考える提供価値(矜持):目的地に早く着くことこそがお客様にとっての価値だ!

でも、そう考えない人もいることもいるようだ。

UXデザインは、体験価値をデザインするだけではない。提供価値と体験価値を一致させていく仕組みを作る(デザインする)ことも、UXデザインの重要な役割だ

 

※WEBの場合、UXの中でUIの占める割合が大きいから、UX/UIという表現をされやすいのかもしれない。

 

●UXの定義

「UX白書」では明示的な定義を避けている。でも説明する事はできる。

 

利用前:予期的UX 想像する/期待する

利用中:一時的UX(瞬間的UX) そのものを使う

利用後:エピソード的UX 体験が思い出されるものとして(加工されて)記憶される

包括して:累積的UX 一連の流れや繰り返しの利用で蓄積されていく

 

 ●「ルアー」の場合

予期的UX:人のブログ見る。「スイッチヒッターって流れの中でめっちゃ釣れそう」

瞬間的UX:使ってみる。よく飛ぶ。流しやすい。実際に流れの中で釣れる。

 ↓

エピソード的:釣れたよ。やったよ。やっぱりこれだよ。

累積的UX:流れのあるところに行くときはスイッチヒッター必須。

 

※言いたいこと

一言で「UX」といっても、たくさんの種類/切り口がある。UXについて議論する時、どの切り口について話しているのかを明確にすることが必要。

 

●ユーザービリティとユーザーエクスペリエンス

ユーザービリティ:インタラクティブ製品の使いやすさ/品質の基準 →ものの使いやすさの度合いの指標。数値化できる。

ユーザーエクスペリエンス:体験それ自体。ユーザーが製品を使ったときの反応の全て。

 

●UXとUXとデザイン/UXデザインの範囲

①体験そのものはユーザー個人のもの

②どういう体験をしてもらうかを設計する

③それを量産できる仕組みを作る

 

①はUX。②③ができてUXデザイナー。特に③の仕組みを作れることが重要。

 

 

●UXデザインを始める前提

  • 設計の目標として予め、目指すユーザー体験を設定すること
  • 製品、サービスはそのユーザー体験を実現する手段/ユーザー体験の一部になるように設計する

UXデザインは理論ではなく実践そのものである。

 

 

個人的な学び

  • UX、UXデザイン、HCDなど、曖昧だった用語の違いや定義のイメージが付いた
  • HCDのプロセスが理解できた。アジャイル開発と相性良し。

個人的な疑問点

  • ビジネス目標をUXデザインにどう組み込むべきか。ビジネスゴール(売上やブランディングなど)の達成もふくめてデザインするときの設計方法